患者さんのモチベーションを高めるために

理想の姿を共有しゴールを明確化する

前回、歯周病が良くならない原因として歯科医師に原因があるパターンのお話をしました。今回は2つ目の患者さんのやる気（モチベーション）や認識の仕方に原因があるパターンについてお話しします。

当院では患者さんに説明や歯磨き指導を行う際に大切にしていることがあります。それは分かりやすい言葉で説明し、明確なゴールを設定することです。

例えば、歯医者さんに初めて通った時に、虫歯がたくさんあるので治療しましょう、歯磨きをしっかりして下さいね、とだけ説明を受けたとします。
ここで患者さんにはどうして虫歯になってしまったの？どこの歯にどんな治療をしていくの？治療が全部終わるまでどれくらいかかるの？歯磨きは頑張ってるつもりだけど何がいけないの？など分からないことや不安なことがたくさん出てくると思います。
それらを解決せずに一方的に説明だけしてすぐ治療に開始しても、患者さんの通院やセルフケアのモチベーションは上がりません。

皆さんは運動するときに、とりあえず走れ！と言われるのと、このゴールまで頑張って走ろう！と言われるのとどちらがやる気になるでしょうか。

霧がかった道を闇雲に走るのか、見えている目標に向かって走るのかで人のモチベーションは大きく変わります。

当院では、まず初診時に撮ったレントゲン写真や口の中のカラー写真、歯周病検査などの結果を分かりやすい言葉や例え話を用いてしっかりと患者さんに説明し、現状を理解してもらいます。そして、今治療が必要なところ、これから治療が必要になるかもしれないところ、治療が必要な理由、今後起こるかもしれないことなどを全て説明した上で、必要な治療の内容、治療する順番などを初診時に全て説明しています。

私たち歯科医師が目標にしているゴールやそこまで治療する必要性を患者さんに共有し理解していただくことで、患者さんにが目標まで頑張って走らなきゃいけないというモチベーションが生まれます。
また、治療の内容や順番を最初に説明することで、今治療がどれくらい進んでいるか、今どんな治療をしているか、あとどれくらいで終わるのかということも理解してもらえるので、ありがたいことに治療を全て終了する前に、途中で来なくなってしまう患者さんはほぼいらっしゃいません。
治療を終えてからもほぼ全ての方が定期メンテナンスに通ってくれています。

患者さんは自分の鏡です。丁寧に説明し、丁寧な仕事をすれば患者さんもそれに応えてくださいます。逆に適当な仕事をしている歯科医院では、患者さんも自分の体のことを適当に考えてしまうと思います。

患者さんが1人で闇雲に走るのではなく、同じ目標に向かって歯科医師と患者さんが一緒に走っていく姿が理想だと考え、実践しています。お口のことやお身体のことで何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
次は当院で行っているメンテナンスについてお話ししていきます。